ファンダメンタルズ分析5〜名目GDPと実質GDP
GDP(国内総生産)については、ファンダメンタルズ分析3〜GDP(国内総生産)のページで説明しているので、まずは、GDPとは何なのかを理解してください。
というわけで、ここでは、名目GDPと実質GDPとは何なのかを説明します。
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名目GDPと実質GDP
「200万円の車はいつの時代も200万円」というのが、一般人の感覚ですが、実際は、貨幣の流通量次第で、物価は変動するのでした(参考:物価と貨幣の流通量の関係)。
具体的には、貨幣の流通量が増加すれば、物価も上がり、逆に、貨幣の流通量が減少すれば、物価は下がるのでした。
この理屈を知れば、(理論的には)GDPの数字を意図的に増減させることができますよね。
どうすればいいと思いますか。
そうですね。
(理論的には)貨幣の流通量を増加させればいいんです。
でも、貨幣の流通量を増加させると、なぜGDPも増加するのでしょうか。
たとえば、国内にA社1社しかない国について考えてみましょう。
A社は、毎年100万円の付加価値を生み出していました。つまり、この国のGDPは毎年100万円でした。
今年も、例年通りの見通しだったのですが、今年だけ違うことがありました。
それは、政府が国民1人あたり、一千万円のお金をばら撒いたのです。つまり、貨幣の流通量が激増したわけですね。
すると、どうなると思いますか。
物価が上昇しますよね。
※)ここまでは、物価と貨幣の流通量の関係で勉強したので、大丈夫だと思います。
さて、ここで、じっくり考えてみてください。
A社とすれば、毎年と同じように生産しています(毎年、同じように付加価値を作り出しています)。
貨幣が増加しただけ、物価だけが上昇しただけです。
しかし、A社の売上も増加しますよね(物価が上昇したので)。
つまり、A社とすれば、例年と同じものを作っているのに、物価が上がったので、売上が増加してしまっているのです。
※)500万円というのは適当な数字です。
これは、おかしいですよね。
GDPは国の経済力を現す目安なので、この国のGDPは常に、100万円であるべきです。
そもそも、なぜこのようなおかしなことが起きているのかというと、物価の影響です。
そこで、物価の影響を排除したGDPが必要になりますが、それが「実質GDP」なのです。
というわけで、実質GDPとは、物価の影響を排除したGDPです。
一般的に、GDPといわれるときは、すべて実質GDPのことです。
ちなみに、物価の影響を排除していないGDPのことを「名目GDP」といいます。