ファンダメンタルズ分析3〜GDP(国内総生産)

GDP(国内総生産)とは、ある期間内に、国内で生み出された付加価値の総額のことですが……。
何を言っているのか、よくわからないですよね。
そこで、もっと、わかりやすく解説してみます。
なお、GDPが理解できれば、GNPもわかるようになるので、このページをしっかり読んで、GDPを理解してくださいね。

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国内で生み出された「もの」の総額とは?

仮に、国内には、A社しか会社がないとしましょう(A社は輸入も輸出もしていません)。
国内には、どういうものがありますか。

そうですね。
A社が製造・販売したものばかりですよね。

さて、ここで少し言葉を難しくしてみます。
「国内で生み出されたものすべて」とは、どういうものだと思いますか。

そうですね。
A社が製造・販売したものですよね。
つまり、「国内で生み出されたものすべて」とは、「A社が製造・販売したもの」になります。




さて、今度は、更に言葉を難しくしてみます。
「国内で生み出されたものの総額」とは、何のことなのか考えてみましょう。

少し難しいので、ゆっくりと考えていきます。
「国内で生み出されたものの総額」を言い換えると、「国内で生み出されたものすべての金額の合計」ですよね。

そして、下記でしたよね。

国内で生み出されたものすべて=A社が製造・販売したもの

つまり、「国内で生み出されたものの総額」とは、「国内で生み出されたものすべての金額の合計」、すなわち、「A社が製造・販売したもの金額の合計」となります。
もっと簡単にいえば、A社の売上ですよね。




さて、今度は、仮に、国内には、A社とB社の2社しか会社がなかったとします。A社は「パソコンの部品」を製造していて、B社はA社の部品を使って「パソコン」を製造していたとします。

ここで質問です。
「国内で生み出されたもの」って何ですか。

そうですね。
パソコンの部品(A社)と、パソコン(B社)ですよね。

では、「国内で生み出されたものの総額」はいくらですか。

そうですよね。
A社とB社の売上の合計です。




仮に、A社の売上が50万円、B社の売上が100万円だとします。
国内で生み出されたものの総額はいくらでしょうか。




そうですよね。
A社とB社の売上を足して、「50万円+100万円=150万円」ですよね。

国内で生み出された「もの」の総額ならば、単純に会社の売上を足していけば良さそうです。

つまり、仮に、GDP(国内総生産)が、ある期間内に、国内で生み出された「もの」の総額ならば、単純な話なのです。

GDPが国内で生み出された「もの」の総額ではダメな理由

ここで、1つ思い出してください。
GDP(国内総生産)とは、ある期間内に、国内で生み出された「もの」の総額ではなく、国内で生み出された「付加価値」の総額でした。
なぜ、「もの」ではなく「付加価値」なのでしょうか。

(○) GDP(国内総生産)とは、ある期間内に、国内で生み出された「付加価値」の総額のこと。
(×) GDP(国内総生産)とは、ある期間内に、国内で生み出された「もの」の総額のこと。

それを考えるために、国内で生み出された「もの」の総額のことを、「仮のGDP」としてみます。

さて、国内には、「パソコンの部品」を製造していて売上が50万円のA社と、A社の部品を使って「パソコン」を製造していて売上が100万円のB社の2社だけだとします。
仮のGDPはいくらでしょうか。

先ほど勉強しましたね。
A社の売上と、B社の売上を足して、150万円になります。
つまり、仮のGDPは、150万円となります。

これならば、話は単純なのですが…。

そもそも、GDPとは、国の経済力を表わす「目安」です。
それを考えると、仮のGDPって、指標として、ふさわしくないと気が付きませんか。
では、なぜ、指標としてふさわしくないのでしょうか。

理由の1つに、仮に、GDPを、国内で生み出された「もの」の総額とすると、いくらでもGDPを増加させることができるということがあります。

たとえば、A社の製造したパソコン部品を買って、そのままB社に販売する実態のない「C社」を作ったとします。
仮のGDPはいくらになりますか?
「50万円+50万円+100万円=200万円」ですよね。



もっというなら、C社からパソコン部品を買うD社、D社からパソコン部品を買って…のように、次々に、実態のない会社を作っていけば、いくらでもGDPを増加させることができます。
こうなれば、正確な国の経済力はわかりませんね。

これだけではありません。
もう一つの理由に、仮に、GDPを、国内で生み出された「もの」の総額とすると、「重複」が生じてしまいます

たとえば、国内に、パソコン部品を販売するA社(売上50万円)と、A社の部品を使って、パソコンを販売するB社(売上100万円)しかない場合を考えてみましょう。

B社は、A社の売上に利益を上乗せして、100万円で販売しています。
もしB社が、そのままGDPとして売上100万円と計上すれば、それはすなわち、A社の売上も計上していることになりませんか。
もっというなら、B社の売上は「B社の手柄50万円+A社の手柄50万円=100万円」、つまり、B社の売上のうち、50万円は、A社の手柄です。

仮に、A社もB社も、売上を計上すれば、A社の手柄(売上)が二重計上されることになります。

だから、単純に、B社の売上100万円をGDPとして計上できないわけです。




というわけで、GDP(国内総生産)は、ある期間内に、国内で生み出された「もの」の総額ではなく、国内で生み出された「付加価値」の総額なんです。
でも、「付加価値」とは、どういうことなのでしょうか。

国内で生み出された「付加価値」の総額とは?

「付加価値」というと、難しく聞こえるので、「手柄」と考えればいいのではないでしょうか。

さて、国内に、パソコン部品を販売するA社(売上50万円)と、A社の部品を使って、パソコンを販売するB社(売上100万円)しかない場合を考えてみます。

B社に着目すると、B社の売上には、A社の「手柄」が含まれていますよね。
そこで、GDPに計上するときは、A社の手柄を除いて、B社の手柄だけにします。



A社の手柄と、B社の手柄を合わせたものは、GDPになります。

というわけで、GDP(国内総生産)とは、ある期間内に、国内で生み出された付加価値の総額のことです。

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