地震が起きれば、円安になるはずなのに、なぜ円高に?
2011年3月、東日本大震災が起こりました。
日本国家の存亡を脅かすといっても過言でもないほどの未曾有の大震災なので日本経済の先行きを不安視して、「円を売る」、つまり「円安」になると思いきや、一時期、1ドル70円台まで円高が進みました。
※)「円を売る」ことが、なぜ「円安」になるのかは、別のページを参照してください。
なぜ、円高が進んだのでしょうか。
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有事とレパトリエ―ション
日本国内で何かを買おうと思えば、当然、「円」が必要ですよね。
ましてや、大震災のような有事が起きたとき、手元に「円」が欲しいと考える企業や投資家は多いことでしょう。
では、有事のとき、どのようにして「円」を手に入れればいいと思いますか。
そうですね。
海外の資産を売ってしまうのが手っとり早いです。
日本の企業や投資家は海外に投資しています(つまり、外貨、外国の金融商品などを持っています)。
そこで、日本企業や投資家は、有事のとき、外貨、外国の金融商品などを売って円を手に入れようとすると言われています。
・外貨(たとえばドル)を持っている
・有事が起きる!円が欲しい!
・外貨(たとえば、ドル)を売って、円を手に入れる
このように、本国に資金が還流することを「レパトリエ―ション(レパトリ)」と言います。
さて、レパトリエ―ションが起きれば、円安、円高のどちらに進むと思いますか。
これは、もうわかりますよね。
円を買うわけですので、円高ですよね。
※)これがわからないなら、当サイトの「外国為替のページ」で基本を押さえてくださいね。
投機筋の思惑で円高になった!?
さて、東日本大震災が起きたときのことを考えてみましょう。
なぜ、以下のようになるのかがわからないのでした。
・未曾有の大震災が起きた!
・円高になる
これを以下のようにすれば、理解できるのではないでしょうか。
1.未曾有の大震災が起きた!(実際に起きた)
2.日本企業や投資家は本国(日本)に資金を移すだろうと予測
3.外貨などを売って、円を買う、つまり円高になると予測
4.今のうちに、円を買おう!
5.円高になる(実際に起きた)
さて、ここで、2〜4に着目してください。
「誰が」予測して、円を買ったのだと思いますか?
真実はわかりませんが、投機筋だと言われています。
※)投機筋とは、その名の通り、投機して儲けている人たちのことです。
言うなれば投機筋の思惑(レパトリが起きるから円高になるだろう)だけで円高に進んだと言われています。
ちなみに、阪神淡路大震災のときも円高になりました。
これは、地震によるレパトリというより世界的な情勢のためですが、日本の地震といえば、レパトリで円高とイメージされているので、今回も円高に進んだと言われています。
てか、大震災のときに、その震災を被っている国でマネーゲームをするなんて、許せないですね。
<注釈>
参考までに、ユーロ危機など、他の国の経済状態が悪いので円高だという説もあります。