円高と産業の空洞化

円高になれば、産業の空洞化が起きると言われていますが、なぜ円高になると産業の空洞化が起きるのでしょうか。また、そもそも産業の空洞化とは何でしょうか。

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円高になれば、輸出企業は苦しくなり、輸入企業は楽になるのでした。
※)参考:・「外国為替」の基本を解説!3〜円高になると輸入企業、輸出企業どちらが有利?

今度は、輸出企業―海外にパソコンを売っているA社の立場に立って考えてみましょう。

A社は、定価5万円のパソコンを海外に輸出していました。
1ドル=100円のとき、海外では何ドルで販売すればいいでしょうか?



そうですね。
500ドルですよね。
それが、1ドル=80円の円高になったとします。
この時、海外では何ドルで販売すればいいでしょうか?



そうですね。
625ドルですよね。

A社は全く何もしていないのに、円高になれば、海外での販売価格も上がります

ここで、海外の消費者の立場に立ってみましょう。
性能も同じで、何も変わっていないパソコンが、500ドルから、625ドルに値上げされれば、どう思いますか?
買わないですよね。

そこで、A社とすれば、利益を犠牲にして値下げするしかなくなります。

これで、一件落着すればいいのですが、ドンドン、円高が進めば、どうでしょうか。
値下げしていると、利益が0円になり、下手をすれば赤字になります。赤字になってまで、輸出する意味はないですよね。

そこで、A社にしてみれば、手を打つ必要があります。
どうすべきだと思いますか?

為替予約などもありますが、教科書的に考えてみましょう。

円高が進んだ時の対策

まず、パッと思い浮かぶのは、海外で製造して、海外で販売すればいいじゃないかという考えです。
そもそも輸出するから、円高の影響を受けるのだから、海外で製造して海外で販売すれば、円高の影響を受けません。
だから、日本国内の企業は、円高が進めば、海外に進出すればいいということになります。



次に、ご存知のように、日本国内の人件費は高く、海外(特にアジア)の人件費は安いです(2011年時点)。
これが何を意味するのかというと、同じパソコンを作るにも、日本国内で製造するよりも、海外で製造した方が安価に作ることができるということです。
海外で製造すれば安価に作れるということは、すなわち、定価を下げることができるということでもあります。



いずれにしても、円高が進めば、企業は、円高の影響を受けないように、日本国内から脱出して、海外で製品の製造をしようとします。
その結果、企業は海外に行き、日本国内から企業はいなくなります。
このことを産業の空洞化といいます。

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