円高になれば、日本国内の物価はどうなる?

円高といえば、「海外旅行に行くと得する」というイメージがあると思いますが、ここでは、もっと深くつっこんで、日本国内の物価に目を向けてみましょう。
具体的には、円高になると、日本国内の物価は、どうなるのか考えてみます。

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円高になれば、輸入商品の価格が下落するか、輸入企業の利益が増加する

円高になれば、輸出企業は苦しくなり、輸入企業は楽になるのでした。
※)参考:・「外国為替」の基本を解説!3〜円高になると輸入企業、輸出企業どちらが有利?

さて、ここでは、上記の話を、もっと突っ込んで考えてみましょう。

アメリカで、500ドルのパソコンが販売されていたとします。
1ドル100円のときなら、このパソコンを1台輸入するのに、何円、必要ですか?



そうですね。
「5万円」ですよね。
※)もし、計算できないなら、復習してくださいね。

このパソコンを輸入した企業は、この1台5万円のパソコンに、1万円利益を上乗せしたとすると、日本国内では、1台6万円で販売されることになります。

<1ドル=100円のとき>
■企業の立場:1万円の利益(5万円で輸入。6万円で販売)
■消費者の立場:定価6万円

さて、1ドル80円の円高になりました。
このパソコンを1台輸入するのに、何円、必要ですか?



そうですね。
「4万円」ですよね。

今までと同じ「定価」で売ろうと思えば、以下のようになりますよね。

<1ドル=80円のとき>
■企業の立場:2万円の利益(4万円で輸入。6万円で販売)
■消費者の立場:定価6万円

一方、今までと同じ「利益」を出そうとして、1万円利益を上乗せすれば、パソコンは1台5万円で販売できます。

<1ドル=80円のとき>
■企業の立場:1万円の利益(4万円で輸入。5万円で販売)
■消費者の立場:定価5万円

1ドル100円から、1ドル80円の円高になれば、輸入したパソコンの価格が1万円、落ちていますね。

話をまとめると、円高になると、輸入企業の利益が増加するか、輸入した商品の価格が下落するというわけです。

競争により、商品の価格が下落

1ドル100円の時、輸入品のパソコンの定価は「6万円」、国内品のパソコンの定価は「6万円」で均衡していたとします。
※)両方とも、全く性能は同じで、売れ行きも同じだったとします。



これが、1ドル=80円になりました。
ここで、パソコンを輸入している企業は、今までと同じ「定価」にしたとします。
すると、利益が増えて2万円になるのでした。



輸入企業にしてみれば、今までに比べて(1ドル100円の時に比べて)、利益が2倍になっていますから、値下げしても平気ですよね。
そこで、仮に、5千円、値下げしたとしましょう。



すると、輸入品の方が魅力的に見え始めるのではないでしょうか。
消費者もそう思い、輸入品が売れ始めます。
そうすると、国内品を販売していた会社にとっては、たまったものではありません。
価格を下げざる得なくなります。
すると、輸入品を仕入れている会社も、更に価格を下げますよね。



というわけで、円高になれば、輸入品の価格が下がり、それにより、日本国内の物価も下がるというわけです。

※)なお、経済は様々な要因が絡み合っているので、一概に、円高になれば、物価が上昇するとは言えないですが、ここでは教科書通りの基本を解説しています。

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